クロアチア・レビュー NO.28
クロアチア・ザグレブが発行するオフィシャル雑誌『クロアチア・レビュー』の最新号で、KAZUはインタビューに応じた。 ※内容から判断して、リーグ再開前の2月号と思われる
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Q:
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海外経験について。ブラジル、イタリア、日本、クロアチアとプレーされてどうですか?
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簡単には比較できない。
あえて言うならブラジルでのプレーは、ちょっと強引なまでに攻撃的かな。もちろん、選手はものすごく沢山トレーニングを積んでいるけれども。イタリアは、戦術的に進んでいますね。特に、ディフェンス面での戦術が最も重要視されている。もしかしたら、相手に得点されるよりもオウンゴールの方がいい、と考えているくらいに。試合自体は激しいですよ。それに選手もよく走る。日本のサッカーは、そういった要素が少しずつ混じってるという感じかな。ブラジル人のコーチが多いし、選手も世界各国から来ていますけど。
クロアチアのサッカーについては、まだ来たばかりなのでその戦術や相手チームなどよくわからないけど、僕の見たところ、テクニックは素晴らしく、戦術も重要視されているように思いますね。
僕にとっては、すべてが新しく、いい勉強になる。ここ数年は、確かに「best
years」とは言えなかったけれど、でも今はすごく調子がいい。それが一番大事なことだと思っています。大きな問題もなく準備してきているし、最初の試合を楽しみにしているよ。
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Q:
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KAZU、あなたの経験やサッカー観は、「ゴール」。この一言に尽きると思うんですが、これについてどう思われますか?
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ゴールは僕の存在価値だし、そのためにプレイしていると言える。ゴールすることは最高の喜びだし、そのアシストも非常に嬉しい。相手チームからゴールを奪って得点したときの喜びは、他の何ものにも代えがたいものですよ。覚えていないゴールもあるけど、ゴールすると幸せな気分になるよね。ゴールするたびに陶酔しちゃいますよ。
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Q:
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サッカーで稼いでいるお金のことについて話すのを嫌がりますね。
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そのことについては、あまり話したくないですね。
お金は契約の一部にすぎないし、僕は、すべての契約を果たすよう、ベストを尽くすだけですから。
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Q:
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KAZUは長くブラジルにいた。それは、KAZUが少年のころの父親の薦めからだ。そしてKAZUの所属していたサントスは、今日でも彼にとって大好きなチームだろう。しかし彼自身の個性は彼が生まれた国、日本によるところが大きい。
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僕は日本人ですよ。
僕たちの文明と精神の基盤は、"WORK"。働くことで、僕たちは今の文化と関わっているわけだし、一人一人がその仕事を通して社会的責任を負っている。僕はブラジルに8年、イタリアに2年いたわけだけど、僕の仕事への認識は変わってない。その認識は、小さい頃から、僕の両親や取り巻く環境から培ってきたものです。
クロアチアでも、そういった僕の哲学は変わらない。僕は、まわりで起こるすべてのことをよく見て学ぼうと思っているし、生活の違いをも勉強だと思っている。それに、僕はヨーロッパでの生活が、すごく好きですし。多くの日本人もそうだと思いますよ。ここでは、日本にいたときよりも自分の時間を持つことが出来るしね。
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Q:
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KAZUの人生にとって一番大事なものは、健康、そして家族だという。
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健康で、家族が平和であれば何も問題ないですね、ここでは。
でも日本での認識は、ちょっと違うんですよ。僕たちの哲学は、なかなか理解しにくいでしょうね。その中で成功するには、ものすごく時間がかかるんです。リアリティーや、誠実さ、まじめさ、ユーモア、名誉、プライド、愛、仕事への責任、人への思いやり、日本の文化は簡単には言い表せない。
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僕がクロアチアの10倍稼いでいた、というのは正しくない。ここのサッカーはだんだん良くなってきているんだと思うけど、日本のリーグはだんだん悪い方に向かっている。多くの問題を抱えているですよ。スポーツだけの問題ではなく、日本の景気も悪い。政治も、ますます空っぽになっていくし。簡単じゃないです。
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Q:
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KAZUはフランスワールドカップにはいなかったけど…。
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そうですね、いませんでした。監督が僕を選ばなかったから。
僕はスイスでの準備合宿から帰国したんですよ。帰ってみたら300人の報道陣がいてね。今度はみんな岡田監督を叩こうと待ちかまえていたんですよ。僕はこの件についてコメントを出したくなかったので、「監督に聞いてください」とだけ言いましたけど。
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Q:
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KAZUは、日本代表に復帰したいからという理由で、ワールドカップ・ブームにわく国に来たわけじゃない、と言っていますね。
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僕は『プロ』。僕にとって一番大事なことは、プレーすることで仕事をまっとうすること。僕の今のボスはクロアチアだ。だから、今考えているのは、このクラブのためにプレイすることだけだよ。もし、いいプレイをして、代表に選ばれれば受けるし、それは嬉しいことですよね。
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Q:
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KAZUは新しい環境を気に入っているようですが…。
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とても満足しているよ。クロアチアは本当にすばらしいチームだと思う。最初はあまり細かいことを聞いていなかったけど、選手もまた素晴らしいよね。このチームには、高い可能性がある事もすぐ解ったし。僕が最近びっくりしたのは控え室での雰囲気。みんな凄く仲がよくて、ホントの家族みたいだよね
ターゲット(目標)がどこにあるのかはよくわかっている。チャンピオンシップをとること。それに向けて出来る限りのことをしたいと思っている。
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彼らとコンタクトを持つのはとても大事なこと。僕のことを受け止めてくれればいいなと思っています。彼らに対しては出来るだけいいプレイして、応えていきたい。サポーターなしでの成功はあり得ないですから。
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Q:
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KAZUは映画が大好きだ。『ゴッドファーザー』は50回以上見たという。そんな彼の私生活を取材したがる記者がいるが、彼はうそを書かれたり、特に私生活を書かれたりするのを嫌がる。
彼はいつでも「サッカー」のことを考え、そして今は「クロアチア」のことだけを考えている。そして将来のことについてはまだ考えていないという。
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大事なことは、僕をここザグレブへ導いてくれたみんなの期待に応えることだけです。
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KAZUは新しい道を歩き始めた。
彼はきっと「何か」を成し遂げ、「何か」を越えていくだろう。
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