第3回 『主将・井原の苦悩』(1998.8.13)

岡田監督との「意識」のズレ

 

「あとはオレに任せてくれ。22人になっても25人で戦うことはかわらないんだから」
岡田監督はそう話し、”同意”を得ていた。
外れたメンバーも同行させるつもりだったのだ。

ところが、井原はこう考えていた。
「オレたちはプロのサッカー選手なんだ。
代表に選ばれる前にクラブと契約している。
代表で選手として使われない以上、帰る方が正しいんじゃないか」。

監督が「グラウンドではオレの代わり」と信頼を寄せる主将でさえ、
選に漏れたら帰国するつもりだった。

監督の岡田もプロ意識は高い。
ただ企業スポーツの一環として現役時代を過ごした岡田とJリーガーの間には、
プレーヤーとしての意識にギャップがあった。

井原は明らかにカズ、北澤に近かった。

ギャップは監督−選手間だけにとどまらない。
「お役所的」気分の残る幹部世代、企業論理で育った指導者世代、
個人事業主の選手世代。
3つの世代が日本サッカー界に存在している。
それぞれ「情」「常識」「感覚」を大事にする世代の、価値観の違いは大きい。

 

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