「カズには守りたいものがあった」。
短い会話の中でも、カズの口からは、毎回必ず『文化』『芸術』という言葉が出てくる。
現在、日本に根付く文化は相撲、野球。
サッカーはまだ、老若男女に広く愛されるスポーツになっていない。
文化になっていないということだ。
カズが渡ったブラジルでも、イタリアでも、サッカーは文化であり、芸術だった。
庶民的で、かつ崇高なスポーツだった。
自分の愛したスポーツが、自分の愛する母国でメジャーになり、レベルが上がり、
海外に認知される。
そのための通過点が、W杯の出場だった。
カズは自分の役目を、
『文化、芸術としてのサッカーを日本に定着させる者』
と信じていたのではないか。
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