第4回 『カズの存在』(1998.9.03)

全て前向きに考える心の支え
貫き通したあきらめぬ姿勢

 

…「あの人はいつも前向きでしたよ。絶対腐りませんから。いつも先頭に立って声出して練習してましたから」MFの控えだった平野孝は言う。
小野信二はカズと練習後話をするのが楽しみだった。5月12日の御殿場合宿で話をしてから、恒例になっていた。「イタリアとか世界のサッカーの話を聞くのが面白かった」。

心のよりどころにしていたカズがひたむきに練習する姿を見ると、
自然と自分も練習に専念できた。…。

カズだけは…モチベーションを高める術(すべ)を知っていた。…。

「自分の力を信じることが大切なんだ。おれはこんなにやってきた。
だから絶対チャンスは巡ってくるって感じでね」。…。

そのカズがフランス・エクセレバンの20日間の合宿にはいなかった。

アルゼンチン戦直前には小野が「モチベーションが低い」と、岡田監督にどなられた。
決勝トーナメント進出が閉ざされた後は「目標がなくなり、何か気が抜けてしまった」と、振り返った選手もいた。

カズのようにすべてを前向きに考えて練習する選手はいなくなっていた。

カズは見えないところでチームを支えていた。

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